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ドラマ「ミステリと言う勿れ」

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菅田将暉主演、全12話。
「1~3月期一番の作品」との評判どおり。

変わり者の主人公が語りまくる、所謂「安楽椅子探偵」のヴァリエーションなのだが、第1話が衝撃的だった。

警察の取調室が主な舞台で派手な動きがあるわけでもないのに、事件の様相は二転三転し、明らかにされた事実は当初の予想を遙かに超えるものだった。

30分の拡大版だったため終盤にはエピソード2の冒頭が入っており、これがまた驚愕の“引き”となっている。
放映後一週間の見逃し配信再生数も、400万回を超える記録を打ち立てているのだから、多くの人々に認められたのだろう。
連ドラの長丁場なものだから、各話でバラつきもあったが、全体として充分満足できるレベルだったと思う。
なかでも第8~9話ミステリーナイト編は、第1話に匹敵する出色の出来だった。
ひとひねりも、ふたひねりもあって、予想だにしなかった事実が姿を露わにしてゆくのがもう快感だった。

全話を視終わったのちにソッコーで田村由美の原作コミックを読んだ。
連ドラとして原作から変更した部分が作品の質を高めており、コミックでは出番の少なかった女性巡査を主人公に次ぐ第2視点に据えたことで、物語に芯がとおり、より厚みを増したものになっているように思う。

ぜひ、第2シーズンを期待したい。

本作には印象的なセリフが多数散りばめられており、ネット上でも「名言」として取り上げられているのだが、個人的に、最も深く胸に沈んだのは、第9話にあった次の言葉だった。
「殺す選択肢のある人間には、殺される選択肢も生まれてしまう」
今まさに、東欧で現実に起きている惨劇の原因は、鏡に映った怪物に怯える独裁者の孤絶なのだろう。