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ゼロ円で「自炊」、電子書籍できました(その3)

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★ 電子書籍って大丈夫?

 「その1」では、スマホアプリのOCR機能を使って紙書籍をテキスト化し、電子書籍を作ることができた。
 「その2」では、スマホのスキャナーアプリを使って紙書籍から画像ファイル形式の電子書籍を作ることもできた。
 電子書籍なら、場所をとらないし数百冊だって簡単に持ち歩けるし劣化もしない。文字を大きくしたり読み上げさせたりできるものだってある。通信環境さえあれば欲しい本を今すぐ買って読むこともできる。
 そんなに電子書籍が良いのなら、最初から紙書籍じゃなくて電子書籍を買えばいいじゃないか、って思いません?

 

 たしかに、端末がないと読めないし、バッテリーが切れてしまえばアウトだけど、今どきスマホを持ってない生活なんてないだろうから、それは大きな問題じゃない。
 なのに、本を電子書籍で買うことに対して漠然とした不安を感じてしまう。
 何故だろうと考えてみて、不安の原因が「サービスやアプリが無くなると読めなくなってしまうこと」だと自覚できた。

 

 紙の本なら現物を失くしさえしなければいつだって読める。
 読みきれないだろうなと思いながらも本を買い続けて「積読」しているのは、まさにこの「いつでも読める」という安心を得たいがためだ。
 ところが電子書籍は、販売元サーバにデータを保管するクラウドタイプだと、サービスが終了してしまうと即日で読めなくなってしまう。たとえ、現在主流となっているダウンロードタイプだったとしても、専用端末の販売が終了したりアプリの更新が止まってしまったりすると、やはり数年後には読めなくなってしまう可能性が高い。
 「いつでも読める」安心のためにずぅっと紙の本を買ってきた人間には、買ったはずの本が読めなくなるのは“絶対に許せない”ことなのだ。

 

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★ 消えた電子書籍

 調べてみると、電子書籍は2010年代に多くのサービスが終了しており、そのたびに補償をどうするのか物議を醸している。
 現在販売されている電子書籍のほとんどが、書籍データの「閲覧権」を販売しているものだ。
 ならば当然、閲覧できなくなった場合には補償すべきもので、サービスを終了した16社のうち13社はサービスの引継ぎもしくはダウンロードにより閲覧できたようだが、マイクロソフト社を含む3社は返金・ポイント還元での対応となったため書籍は読めなくなってしまった。
 電子書籍部門を廃止するだけであればこのような補償も可能だろうが、会社自体が倒産してしまうともうどうしようもなくなってしまう。
 何よりも、本を買った読書家は金銭的な補償が欲しいわけではなく、「いつでも・いつまでも本が読める」保証が欲しいのだから。
 では、どうすればいいのか。

 

★ 読めない理由

 電子書籍には、違法にコピー使用されることのないようDRM( Digital Rights Management )--デジタル著作権管理が施されており、専用端末や専用アプリでしか読めないようにロックがかけられている。
 まあ、デジタルな商品としては当然の措置、なのだろうけど。
 自分がよく利用している楽天ブックスでも、電子書籍楽天Koboで購入すると、パソコン上なら書籍管理ソフト「楽天 Kobo デスクトップ」を使ってダウンロードして読むことができ、書籍データは Adobe DRM がかけられた kepub ( Kobo epub )形式でパソコン内に保存される。

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 Windows なら、C:/Users/ (ユーザー名) /AppData/Local/Kobo/Kobo Desktop Edition/kepub フォルダー内に拡張子もないファイルとして保存されるが、残念ながら通常の epub リーダーで読むことはできない。

 

 この書籍データファイルからDRMを解除できれば他の端末やアプリで読めるようになるわけだが、ちょっとネットを探せばわりと簡単に解除方法は見つかってしまう。
 しかし、著作権法上では私的利用のための複製は認められているのだが、技術的保護手段の回避--DRMの解除は合法的複製手段としては認められず、各電子書籍サービスにおいても規約違反となりアカウント停止やサービス利用停止のリスクを負うことになってしまうようだ。

 

 それでも、万が一のサービスの終了に備えて、何とか読むための手段だけでも確保しておきたいと思うのは許されないことだろうか?
 消費者契約法においても、一方的に消費者が不利益をこうむる契約条項は無効とされる例もある。
 別に、不正コピーを売りさばいて儲けたい訳じゃない。
 買った本を自由に読みたいだけなんだ。

 

★ 自由に読みたい

 DRMにもいろいろ種類があって、解除もそれぞれに対応しなければならないようだ。
 中国系のあやしげなサイトからDRM解除ソフトがダウンロードできるみたいだが、あんまり近づきたいとは思わない。
 比較的安全に使えそうなのは、電子書籍管理ソフト calibre ではないだろうか。プラグインを読み込ませることで、Amazon Kindle楽天 Kobo のDRMを解除できるようだ。
 そして calibre なら、取り込んだ電子書籍を汎用のテキスト・PDF・EPUBデータに変換してバックアップすることができる。
 これができてようやく、安心して電子書籍が買えるというものだ。

 心配性すぎると言われるかも知れないが、電子データをバックアップも無しに使うなんて自分には無理。今までどれほどイタい目にあってきたことか。

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 今のところ、Amazonも楽天もDRM解除への対策を強化する様子はないようにみえる。まだ市場がそれほど大きくなく、被害も少ないからかもしれない。
 とかくコピーソフトとプロテクトはイタチごっこになりやすい。万一のバックアップ手段まで更新し続けなくてはならないとしたら、それだけで疲れ果ててしまうので、仕様が安定しているのは購入者としても安心だ。

 

 電子書籍は、紙書籍と違って再販売価格維持制度の対象とはならず、割引販売が可能となっている。また、値付けの変更も簡単なため、キャンペーンを打つことも多くお買い得感がある。
 自分が今回初めて買った電子書籍は、5年前に発刊されたあんまり売れなさそうな(失礼!)29年ぶりの続編だったが、キャンペーンやクーポンを駆使して紙書籍の半額で買うことができ、とても満足だ。
 積読になってしまわないよう、早めに読みたいと思っている。