本とエンタメ、あとパソコンにスマホも

好きなことだけやってます。

ゼロ円で「自炊」、電子書籍できました(その2)

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★ 手抜きしたい

 前回は、グーグルレンズのOCR機能を使ってスマホ電子書籍を作ってみた。
 時間はかかったが自分としては満足している。テキストデータにしてしまえば容量も小さいし、フォントの種類・色・大きさを変えて読みやすくすることもできるし、音声で読み上げさせることだって可能だ。これって、サステナブル
 しかしながら、OCRでのテキスト化は誤読ゼロとはならないため、どうしても校正作業が必要になってしまう。この労力が馬鹿にならない。
 そこで、今回は「校正しない」電子書籍化――画像での保存にチャレンジしてみた。

 

 ひとまずは、撮影したページを  jpg 画像として保存し、zip ファイルにまとめる方法でやってみようと思う。
 方法としては pdf 化のほうが主流なようだが、自分としてはわざわざ画像を pdf にする意義がよくわかってない。
 テキストではなく画像として読み取るのであれば、そのまま jpg として保存した方が後々の汎用性が高いと思っている。必要であればさらにOCRテキスト化もできるんだし、どうなんだろう。画像の pdf 化ってどんなメリットがあるの?

 

 さて。

 できなくはないとはいえ、作業効率を考えるとさすがに追加投資ゼロ円のままでは難しい。
 かといって、いきなりドキュメントスキャナーを購入しての「自炊」はおサイフに拒否られるし、まだ本は解体したくない。
 そこで、「タイトルに偽りあり」となってしまうが、ちょっとだけ投資。
 前回、グーグルレンズを使ったOCRテキスト化の際にも困っていたのが、シャッターを押す際にスマホがブレたり、本を片手で押さえるためページがよれたり反ったりしてしまうことだ。
 そこで、シャッターを押す際のブレを無くし、両手で本を広げたままでも撮影できるよう「スマホ・アームホルダー:Bluetooth シャッター付き」(クーポン割引で 2,315円)を楽天で購入してみた。スマホで上から見下ろす俯瞰撮影ができるタイプだ。
 ちなみに、このアームを使ってOCRテキスト化を試してみたところ、本文をまとめて撮ってしまってから順にグーグルレンズに読み込ませることで効率的に文字認識させることができた。なぁんだ、もっと早く買っておけば良かった。

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★ きれいに撮ろう

 普通にスマホのカメラで小説本文を撮影すると、ペ-ジを押さえる指や開いた本の厚みによる影、紙のしなりによる文字の歪みなどが出てしまう。まあ、当然でしょうね。
 最低限、これでも読めるから絶対ダメってわけじゃないんだけど……。読んでいてもなんか気になってしまう。やっぱ、電子書籍っていうからには、もう少しキレイなものにしたい。
 で、何かないかとアプリを探してみた。
 すると、紙のしなりによる文字のゆがみを自動補正してくれるスキャナーアプリ、vFlat Scan が見つかった。

 アームにスマホをセットして角度や高さを調整、スタンドライトを点けて、リモコンシャッターを Bluetooth で接続し、いざ撮影会。
 両手を使って本を広げ、1ページづつ撮影してゆく。
 最初はシャッターを右手で押していたが、撮影ページを広げる手だと押しにくく感じたため、途中からは撮影ページごとに左右の手で交互にシャッターを持ち替えて押していった。

 

 全258ページ、ひとまず撮影は2時間くらいで終わった。慣れればもう少し短くできるかもしれない。
 vFlat Scan には、本を押さえた指を自動的に消してくれる機能もあったのが嬉しかった。ありがたや。
 パソコンに撮影データを転送してビューアーで内容をチェックしてみると、一部の文字がかすれてしまったものやピントがあわずボケてしまっているものが50枚余りもあった。
 これらについては、撮影中にも注意しつつ、ミスしたと思ったものは再撮影していたのだが、それでも思ったより撮影ミスが多かったことになる。
 ピンボケはオートフォーカスとシャッタータイミングのズレが原因で慣れてしまえば問題ないのだが、文字のかすれは照明のムラが原因だった。
 スマホの影がでないようにと自宅にあった卓上型LEDスタンド2個を使って左右から照らしたのだが、同一ペ-ジ内であってもスタンドからの距離の違いで明るさにムラがでてしまう。
 カメラが暗い側の文字をきれいに撮ろうとして絞りを開くのか、明るい側の文字が白地のハレーションで細くかすれたようになってしまうのだ。
 まあ、これらはどうしようもないので再撮影を実施。
 文字を飛ばさないよう照明を抑えてみたのだが、明るさが足りないと指が消えず、紙の地色も写ってしまうので、そのさじ加減が難しかった。

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 再撮影したものと入れ替えてさらにチェックをしてゆくと、まっすぐに置いて撮ったつもりなのに微妙に傾いているものが結構ある。
 これについては、 No.722 さんが公開されている eTilTran と chainLP というソフトを使ってみた。
 パソコン上で画像の傾きを補正したり、余白をカットしてくれるソフトだ。そのほかにもノンブルの除去や再配置、2段組みを1段組みに変更することもできるらしい。
 あまりに高機能なため理解不足のまま基本機能だけで使ってみたのだが、それでも何とか見られるものができたので、これを zip でまとめて完成とした。感謝。

 

 だが、完成した電子書籍スマホで読んでみると、なんだがピントが合わせづらいような気がする。

 何でだろうと拡大して確認してみると、画像の文字がボケて滲んだようになってることがわかった。

 vFlat Scan で撮った最初のデータと比べてみると、データサイズが10分の1になっている。画像を縮小しているため文字の輪郭に曖昧さが出てしまったようだ。

 うわぁ、どうしよう。文字がボケちゃうのは眼に悪そうだよなぁ、最初のサイズに戻した方がいいのかなぁ、としばらく悩んが、ビューアーアプリのコントラスト等を調整することでリカバーできそうだったのでひとまず良しとした。

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 電子書籍自炊には「どこまでクオリティを求めるか」の問題がある。

 本をバラしてドキュメントスキャナーで読み込むならともかく、非破壊自炊にはおのずと限界もあるだろう。

 お手本としたブログにも「理想は求めない方が良い」との注意書きもあったし、妥協することは決して何かに負けたじゃない。

 最終的に保存した jpg データからちゃんとOCRテキスト化できることも確認できたので、今回は以上で作業終了としたい。

 次回は、ちょっと趣旨がズレてしまうかもしれないが、(その3)として市販電子書籍について考えてみたいと思っている。

 

★★ 追記その1:二番目に思いついた冴えたやりかた

 その後、2冊め、3冊目といろいろ試しながらやってみたが、逆L字に本を開いて片側ページのみを連続撮影してゆく方法が一番効率的だと気付いた。
 撮影のために本の位置を左右に動かす必要がなく、ページをめくるだけでスピーディーに撮影ができる。
 奇数ページを順に撮り終えたら、本をひっくり返して偶数ページも順に撮影してゆく。
 当然、画像も逆さまになってしまうが、これはウィンドウズ・エクスプローラーの基本機能で対処できた。
 奇数ページと偶数ページを別フォルダに保存し、逆さまになっているフォルダの画像ファイルを全部選択して「右(左)に回転」を2回繰り返せばOK。

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 あとは、以下の手順でページ順にそろえてゆく。


(1) 奇数・偶数各フォルダ内の画像ファイルをページ順に連番を付けて同じ名前に

   変える

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(2) 偶数ページのファイル名に適宜の文字を追加する
 この、「末尾に適宜の文字を追加」するには Flexible Rename 等のフリーソフトを使っても良いが、自分はコマンドプロンプトから当該フォルダに移動して、

  for %A in (*) do ren "%A" "%~nA_b%~xA"

を実行し「_b」の文字を追加してみた。

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(3) 全部のファイルを同一フォルダにコピーして名前で並び替え

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 わかりやすくしたければ、ここであらためて MyBook(101)~MyBook(400) のように連番にリネームしておいても良いだろう。
 これを zip にまとめて一冊できあがり、だ。

 

 この方法で撮影してみると、300ページ余りの本を1時間半くらいで撮り終えることができた。
 内容をチェックして撮影ミスしたページを再撮影しても3時間はかからなかった。「非破壊自炊」としては、まあまあの効率ではないだろうか。
 絶版・品切れで購入できない本でも、図書館から借りて電子化して「積読」することが可能なレベルで、コレクター欲がまた膨れ上がってしまいそうだ。(^^;)

 

★★ 追記その2:ちょっと手順を変えてみた

 前回、逆さまになった画像をエクスプローラーで修正したが、ビューアーによっては修正されず逆さまのまま表示されるものがあった。(回転信号のみを付加してるんだろうか?)

 そこで、逆さま画像の修正には、直感的に使いやすかった nilpo 氏の「Ralpha」を使用することにした。

 

 また、「eTilTran」を使って余白をカットし、文字部分のみをトリミングしたものをスマホ用に作成してみた。

 指定した範囲のトリミングなら上記の「Ralpha」でも可能だが、「eTilTran」は文字部分を自動認識して切り出してくれるので、それを拡大縮小・上下左右移動させて微調整しながら1ページ内(赤枠内)にちょうど収まるよう合わせてみた。

 

 パソコンやタブレットならそのままでも読めたのだが、5.8インチのスマホだとギリギリまで大きく表示しないと文字が小さくて読むのがキツかったので、もうひと手間かけてみたわけだ。これでなんとか。

 

★★ 追記その3:段組の再配置を試してみた

 前回、「eTilTran」を使って余白をカットし、文字部分のみをトリミングしたものをスマホ用に作成してみたが、すべてのページがトリミング範囲内に収まっているか確認して微調整することが必要であり、これにけっこう時間をとられてしまっていた。
 また、トリミングはしてみたものの、元本によってはまだまだ文字が小さいものもあったので、「MeTilTran」を試してみることにした。
 1ページごとの画像だったものを、1文字づつの画像に分離して再配置するもので、2段組のものを平組にすることも可能だという。


 詳しいマニュアルが見当たらなかったもので、元データを読み込ませて思いつくまま試行錯誤したところ、なんとか読めるものができあがった。
 嬉しいことに、最初に出力設定さえしておけば各ページごとに調整する必要もなく、その意味ではずいぶんと省力化になることがわかった。

 残念ながら、スキャンした画像のゆがみを補正してくれる vFlat Scan でも限界があるため、どうしても文字が斜めになってしまうこともある。再配置を実施すると行のつなぎ目がガタついたり文字の片側が削れたりしてしまうこともあるが、とりあえず読むことは可能なので許容範囲だと思いたい。

 使い方を完全に理解しているわけではないので、もしかするとこれも調整することができるのかも知れないが、ここまででも個人的には十分に助かっている。

 560ページ余の単行本をスマホサイズに変換すると1200ペ-ジを超えてしまったが、5.8インチの画面でもラクに読めるので、隙間時間を利用して読書ができている。

 

★★ 追記その4:クオリティを高める

 「MeTilTran」のマニュアルの所在が不明だったので、いろいろと試行錯誤したところ次の3点について修正方法がわかったので記録しておきたい。
  ① ページの合わせ目の影など不要なゴミ画像の除去
  ② 行の誤認識による文字の左右分割
  ③ 改行まちがい

 

 ① は、グループ編集モードにして、不要なブロックの番号を選択して削除する。


 ② については、行編集モードにして、分割されている行を選択し「隣接行融合」ボタンで一行にまとめる。



 ③ については、不要ブロック等の長さに合わせて文字行ブロックの下限を誤認識してしまったことが原因なので、グループ編集モードにして不要ブロックを削除したのちに、文字行ブロックを選択して余分な余白を入れないように大きさを調整することで、改行を正確に認識させることができる。

 

 作業にも慣れた現在では、250ページくらいの本であれば、撮影に1時間、画像チェック・再撮影・奇偶ページ丁合に1時間、計2時間あまりで電子書籍化できるようになった。
 スマーフォン用の版組変更も、上記①~③の状態を気にしない(とりあえず判読は可能だし)のであれば5分もかからずにできてしまう。
 クオリティを高めようとした場合にのみ、本稿の修正作業がもう1時間ほど必要となるわけだ。
 もっとも、この修正作業さえ終了すれば、修正した内容を「プロジェクト」として保存できるので、スマートフォン用のみならず、タブレット用・PCディスプレイ用ときれいな版組変更が可能となる。
 読み方もまた、自由自在ということだろう。


 「MeTilTran」を公開されている No.722 さんには、あらためて感謝申し上げます。

 

ゼロ円で「自炊」、電子書籍できました(その1)

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★ 初めてのスマホ

 この夏、ガラケースマホに替えた。機種は Google Pixel 4a。
 5年ほど前から8インチのアンドロイドタブレットを利用していたのでおおよその使い方は理解しているつもりだったのだが、スマホを使い込むにしたがってその性能・機能の進化には驚かされることばかりだ。
 「グーグルレンズ」もその一つ。

 

 そもそもは、スマホで蔵書管理できるアプリがあることを知り、「Readee」を使い始めたのがきっかけだった。
 スマホのカメラで本の裏表紙のバーコードを写すだけで書誌データが書影とともに簡単に登録できてしまう事に感動してしまった。
 蔵書には古い本も多く、バーコードはおろかISBNコードすら付いていないものもあったが、シリ-ズ名や作者名でも検索・登録することができ、サクサクと 10日間で2千冊余りを登録できた。
 未読小説本の管理が主目的だったので、あらすじ等も確認できるアプリを選んだのだが、データベースとなる楽天ブックスにもあらすじ登録のないものがけっこうあったため、手入力するか諦めるかどうしようかと迷っていたところ、「グーグルレンズ」で簡単に登録できることがわかったのだ。
 半ページを越える長いあらすじもあったが、カメラで写して「グーグルレンズ」のOCR機能で難なくテキストデータ化して登録できた。
 進化した機能に感心しながら登録データをながめていたとき、ふと、「これなら、本文そのものもテキストデータに――電子書籍にできるんじゃないの?」と気付いてしまったのだ。


★ 電子書籍を作ってみよう

 ちょうど「Readee」に登録しようとしていた本の中に、日に焼けたように紙が茶色になってしまった古い薄めの小説があったので、試しに本文ページを写真に撮ってグーグルレンズで文字認識させてみた。
 なんと、認識率99%超!
 字下げした行頭や読点の後に半角スペースが余分に入ってしまうのを別にすれば、文庫本1ページ分に誤読が3~4文字程度しかなく、充分実用に耐えるものだった。
 かつて、フラットベッドスキャナーを買ったときに付属のOCRソフトを試した際には認識率が95~96%ほどしかなく、1行のうちに2箇所も3箇所も誤読があって校正する気力もなくなってしまうくらいだったことからすれば、もう雲泥の差だった。
 最初は10ページくらいづつ、途中からは20ページくらいづつをテキスト化して校正していった。
 記号の半角全角誤変換や改行時に一文字抜け落ちてしまうことがときたまある程度で、ほとんど修正する必要もなくスムーズに読み進めることができたのが感動的だった。

 手順としては、
 1.左手で文庫本を開いて持って
 2.右手のスマホで1ペ-ジ分を撮影
 3.撮った写真をグーグルレンズに読み込ませ
 4.文字を認識させて「コピー」を選び、エディター等に「貼付け」する
と単純なものだ。

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 照明が暗かったりページに反りがあったりしても、難なく読み取ってくれた。
 ただ、4G を WiFi に切り換え忘れていた際には、認識に倍以上の時間がかかったり、エラーが頻発してしまうことがあった。う~ん、OCR認識はデータ通信してるってことなのかな。

 また、文字部分を撮影フレームギリギリまでアップにして写した方が文字認識率が高くなるようで、うっかり離して写したときにはたちまち誤読が増えてしまった。

 さらに、自分の場合は、
 0.あらかじめ、パソコンでグーグルクロームを立ち上げておく
 1~3.
 4.文字を認識させたあとに「パソコンにコピー」を選ぶ
 5.パソコンで立ち上げたエディターに連携したデータを貼り付け、校正する
の手順で行った。
 仕組みをよく理解していないのだが、スマホとパソコンの両方で同じグーグルアカウントにログインしておくと、グーグルレンズで読み取ったテキストをパソコンに転送してクリップボードに一時保存できるというものらしい。
 OCR認識の際に余分に入ってしまった半角スペース等を、パソコンのエディターで一括置換・削除してから校正作業にとりかかっている。


★ 出来映えは?

 結果、約2週間かけて全247ページをテキストデータ化できた。150,666文字、444KB。
 本を解体することなく、手持ちの機材のみで――追加投資ゼロ円で電子書籍化できたことに、とても満足している。
 OCRの誤読が少なく、ほぼ再読しながらの校正作業であったため、さほどストレスを感じることもなく「読書」を楽しめた。

 この、電子書籍化にかけた時間と労力が成果物に見合うものかどうかについての判断はひとまず置くとして、自分としては大好きだった作品を「劣化させることなく半永久的に残すことができる」ようになったことが、とても満足だ。
 ネットをのぞいてみると、往年のファンから再刊を希望する声もみられる作品だったので、せっかく労力をかけて電子化したこともあり、希望者にコピーを贈ってあげたい、この作品をもう一度広めたい、といった気持ちに駆られるが……ダメですもんね。ハイ、わかってます。
 青空文庫に寄贈して、版権切れ後に公開してもらうよう予約することは可能なのかな?

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 次は、「校正しない」電子書籍化にチャレンジしてみたいと思う。
 なにせ、今回電子化した作品は日本語版で全20巻(+1)のシリーズであり、まだ19冊(+1)も残っている。
 1冊を電子化するのに2週間近くもかかっているようでは、ほかの本が読めなくなってしまう。
 いかに、お金をかけず、労力をかけずに電子書籍化できるかが今後の課題、ということで。

 

★★ 追記
 電子テキスト化の2冊目として、ロバート・シルヴァーバーグの「いばらの旅路」を選んでみた。
 先日、「小惑星ハイジャック」で久しぶりにシルヴァーバーグを読んで、いやいや、もっと良いのがあったでしょ、とシルヴァーバーグを再読してみたくなったのだ。
 早川書房東京創元社とサンリオの文庫は持っていたが、「いばらの旅路」は図書館で見つけて読んだだけだったので、今回ネットで探してそろえることができた。

 入手できた本は発行から半世紀が過ぎて劣化が進んでおり、このままボロボロになってしまうのがなんだかしのびなく思えて、「このさい再読に併せて電子化してしまおうか」と考えたのだ。
 約2週間(実働は土日を含む7日間)でOCR処理したものを読みながら校正し、全235ページ2段組み、182,614文字(551KB)を電子テキスト化することができた。
 一言一句を照合・校正するものではなく、段落の区切りに注意しながら読んでいって違和感を覚えた部分を中心にチェックしたくらいのもので、まだまだ校正漏れは残っているかもしれない。
 テキスト型の電子化は校正が必須となり、画像型の電子化に比べて効率は格段に落ちてしまうのだが、時間をかけた分だけ深く読み込めたような気がしている。
 さて、残りの本はどうしようか。

 

スマホで蔵書管理、できるかな

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★ こんなアプリがあったんだ

 この夏にガラケースマホに替えてから、いろんなアプリを試していた。
 5年ほど使っていた8インチのアンドロイドタブレットが、ちょうどバッテリーの寿命だったのか、スマホを買ったのと入れ替わるように天に召されてしまい、買ったばかりのスマホでどこまで代用できるか確認していたのだ。
 そんな中で、スマホで蔵書管理するアプリがあると知った。
 スマホで? どうやって? なんでわざわざスマホで?
 最初は意味が解らず、疑問に思いながらもおすすめ品として名前の挙がっていた「蔵書マネージャー」を試してみた。


 感動してしまった。
 スマホのカメラで本の裏表紙のバーコードを写すだけで、書誌情報が書影とともにあっというまに登録できてしまったことに。
 自分としては、まさに「目からウロコ」の状態だった。
 アプリとしてはかなり前からあったようなのだが、スマホバーコードリーダーにしてデータベースと通信連携させるとうい使い方が自分の意識の中に無く、まったく認知していなかったのだ。
 読書が趣味と自認してはいたが、もうだいぶ前に「買った本を全部読む」ことを諦めて、それでもまだ遠慮気味に買い続けていたので、いまさら蔵書管理なんてできるはずもないと思っていた。
 はるか昔にカードで管理できないかと試してみたことはあるが、ぜんぜん続けられなかった。パソコンで管理することも考えてみたが、データ入力の苦労を想像するだけで絶対無理と思った。
 なのに、こんな簡単に、データ登録ができてしまうアプリがあっただなんて。
 もう、感謝カンゲキ雨ARASHI。


★ 試してみよう

 さっそく紹介されていた代表的なものをいくつか試してみた。蔵書マネージャー、Readee、Bookshelf、ブクログ読書メーター等々。
 データベースソフトとしての観点からは無意味だなと思いつつ表紙書影を並べて眺められるのはコレクター心をくすぐられるものだったし、でも当然ながらリスト表示は絶対に必要だし。作品名や作者名での並び替えや検索も必須だろう。未読小説の管理が主目的だったので、できればあらすじ等が確認できるととても嬉しい。データを外部出力して別途編集できれば後々使い勝手がいいだろう。
 10冊づつくらい登録してこれらのポイントについて試用確認してみた。
 ブクログ読書メーターはウェブアプリとしての側面が強くSNSでの交流や紹介に重点を置いているようだった。データのローカル保存と登録方法の豊富さでは蔵書マネージャーが群を抜いていたが、あらすじの表示では Bookshelf と Readee の2択となり、作品名・作者名での並び替えや検索においてはカナデータを保有する Readee に軍配が上がった。
 Readee は、登録データのバックアップをクラウドDropboxcsv 形式で保存できるが、スマホ本体のローカルデータを直接編集することはできなかった。ま、Dropbox 経由でなら登録データを編集できるので、ひとまずは Readee を使ってみることにした。

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 使い始めてみると、Readee は登録検索のキーワードに制限がなく、バーコードの付いてない本でも新旧ISBNコードやシリーズ名等で検索できたので思ったより登録がはかどり、10日間で2千冊余りを登録することができた。
 さすがにこのペースで登録していたら本が1冊も読めなくなってしまったので、今後の登録作業にあたってはペースダウンすることになるが、時間をかければ全ての蔵書を登録することも夢ではないと思えた。
 まあ、気長にいきましょ。


★ データの問題

 Readee は楽天グループが作成したアプリで、楽天ブックスが登録のためのデータベースとなっているのだが、Dropbox にバックアップされたデータを確認してみると想像以上にバラつきがあった。
 Readee は53項目のデータを管理していたが、大きな問題点は title、subTitle、contents、この3項目の中身だ。
 同じシリーズであっても title と subTitle が入れ替わっていたり、subTitle と思われる内容が contents に入っていたりする。しかも Readee では contents は表示されないので、バックアップしたデータを直接のぞいてみないとわからない。出版社からの提供データがふぞろいなのか、楽天ブックスのアルバイトの入力が統一されていないのか。
 そのほかにも、半角と全角、アラビア数字と漢数字、スペースやカンマや括弧の有無など、表記の揺れもみられるようだ。

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 Readee のアプリレビューで、並び替えが思ったとおりにならない、といった報告があるのはこのためではないかと思われる。
 これらの問題については、登録したデータを自分なりのルールで表記統一しないことには解決できないのだろう。
 筆者においては、本棚1段分を登録ごとに、エクスポートしたバックアップデータの文字コードをUTF8からシフトJISに変換してエクセルにCSV型データとして読み込み、確認・修正したのち再度文字コードを戻してからインポートし直している。
 ちょっと手間だが、これでシリーズ作品がきれいに並んでくれる。
 また、itemCaption ――あらすじ等がデータ元に登録されていないものについては、グーグルレンズを使って書籍自身からOCRテキスト化し、個別に追加登録している。


★ 楽しい♪

 次は何を読もうかと登録データのあらすじ等を確認しながら選んだり、書影表示させてながめているとちょっと楽しくなってしまう。並んだ表紙がつながっていたりペアになっていたりした時にはなおさらだ。
 そんなときの私を見て嫁サンは、なに変な顔してんの気色わるい、とのたまうが、まあ、甘んじて受け入れておきましょう。
 ニマニマと、端から見れば確かに気色わるい顔してるんだろうから。

 

 

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スマホデビューでLINEMO を申し込む

LINEMO の始め方

 

★ パケホが高い!

 ずぅ~っとガラケーを使い続けてきたが、スマホに替えることにした。
 これまで使っていたのはソフトバンクAQUOSケータイ2(601SH)――その前の機種が故障したときに代理店から「今なら無料で新しいのに替えられますよ」と勧められたものだ。
 無料だったわりには意外に使えて、裏技的にアンドロイドアプリをインストールすることもでき、思いのほか遊べたように思う。
 それがまだ壊れたわけでもないのに替えようと思ったのは、ようやくスマホの通信基本料金が安くなったからだ。

 

 ガラケーだったので自分だけなら月額3千円ほどですんでいたのだが、とうの昔にスマホに替えてた嫁サンのが高いまんまで、二人合わせて1万2千~3千円ほど支払っていた。
 そのくらい今どきの若者なら「生活必要経費」と気にしないかもしれないが、嫁サンのパケホ代が高止まりしたままだと、再就職で大幅に給料が減った旦那のこづかいに赤信号が点灯してしまう。
 最初は Y!mobail への乗り換えを考えていたのだけれど、時の総理のおかげなのか、ようやく ahamo が出て、povo が出て、待ちに待った LINEMO が出てくれた。
 キャリアは変わらないし、通話品質も変わらないからと嫁サンを言いくるめ、早々に LINEMO を申し込んだのだった。


★ ガラホじゃ乗り換えできない!

 AQUOSケータイ2は、いわゆる「ガラホ」――外見はガラケーでも中身はアンドロイドで、LINE も標準搭載されている。にもかかわらず LINEMO には乗り換えできなかった。……やっぱりそうかぁ。

 LINEMO 公式ページで対応機種一覧を確認してみると、やっぱりない。嫁サンのスマホは対応してたんですけどね。
 ということで、欲しい機種選びから始めることになりました。
 電気屋さんでカタログ集めて、あーでもないこーでもないと悩む。まあ、結局よくわからないんで、今まで使ってた AQUOS か 息子が使ってる Google Pixel くらいかなぁ、とあたりをつける。
 でも、自分、今まで代理店以外でケータイを買ったことないし。LINEMO はオンラインだけだって言うし。LINEMO 用のスマホ本体って、どこで買えばいいのかな?
 ま、電気屋さんのお姉さんに聞けばいいか、とお店に行ってみると Google Pixel 4a が思いのほかお手頃なお値段で並んでいたので、LINEMO への対応を確認してクレジット一括払いで買って帰った。
 このとき、機種本体の SIM ロック解除について確認し忘れていたために、後で悩むことになってしまった。


★ 設定がややこしい?

 家に帰って、まずは旧機種からデータの移行準備。
 と言ってもたいしたデータは入っていなかったので、再就職を機に整理した連絡先のみをGメールで自分あてに送って保存し、必要最低限のデータは確保完了。
 パソコンで LINEMO 公式ページから申し込んでおいた SIM は3日ほどで届いていた。
 お店で Pixel 4a 本体と一緒にもらったA4サイズのガイド冊子と、事前にソフトバンク・LINEMO 各公式ページで予習しておいた手順にしたがって作業を進めていく。
 LINEMO は同じソフトバンクでありながら、SIM ロックを解除しておかないと乗り換えできない仕様になっていた。

 そこで、ソフトバンクの公式ページから入って本体の SIM ロックを解除しようとするのだが、何度やり直しても手順書どおりに進んでくれない。
 後で判ったのだが、本体の SIM ロックは最初からかかっていなかった。購入時に確認しておけば悩まずにすんだのだが、このときはしかたなく SIM ロックは解除されたものとして手順を追っていった。
(ちなみに、現在ではすべてのキャリア・機種で SIM ロックはかけられていないので、もうまったく悩む必要はない)
 ところが、ここでまた、ちょこっとトラブル。
 ソフトバンク回線の使用を終了して、LINEMO 回線の使用を開始をする――回線切替が必要なのだが、ガイドの注意書きを読み飛ばしていて、時間帯に制限があることに気づいていなかった。回線切替窓口電話番号の下に小さく「対応時間 10:00~19:00」と。
 平日に仕事を終えて晩飯を食べてから設定をやっていたものだから、このときすでに時間をオーバーしてしまっており、翌日に持ち越しとなってしまった。がっかり。
 気を取り直して翌日の夕方に再挑戦。
 対応時間内に回線切替を終え、LINEMO の SIM を本体に入れ、APN設定を行い(これも何をしているのかまったく理解できないままだったが、マニュアルの指示どおりに入力した)、無事通話ができるようになりました。
 結局、SIM ロックや回線切替は自分のうっかりミスだし、機種対応は頑固にガラケーを使ってた因果応報なわけで、とりたてて設定が難しいというものではなかったと思う。

 

 自分のが無事に使えるようになったところで、おもむろに嫁サンのスマホを LINEMO に切り替えた。
 嫁サンもこの機会にと機種変更し、データの移行は手数料を払ってお店のお姉さんにぜ・ん・ぶやってもらった。
 このときは、元機種のバッテリーが半端な充電だったため、写真や動画をたっぷり貯め込んでいた嫁スマホのデータ移行に時間がかかり、途中で電源が落ちてしまうんじゃないかとハラハラした。

 なんとか10%ほどバッテリーを残して完了できたけど、安全のため新旧2台ともに充電を100%にしてから移行作業をしたほうがいいだろう。
 データの移行さえ済んでいれば、あとは回線切替からの手順を繰り返すだけ。とどこおりなく嫁サンも LINEMO が使えるようになりました。
 ちょうど LINEMO にミニプランが発表されていたので、嫁サンにはこれを申し込んでおいた。
 自分もあわせてミニプランに切り替え、これで2人合わせて2千円ちょっとの月額使用料となり、以前と比べて1万円近い経費節減となった。

 なんと年間12万円! これで、自分のおこづかい予算も確保できたんじゃないかな。
 めでたしめでたし。

 

 このとき、3ヶ月後に楽天モバイルで eSIM を申し込み「二刀流」に開眼することになろうとは、夢にも思っていなかった。


★ スマホは便利!

 LINEMO に切り替えるとキャリアメールが使えなくなるので、各種ネットサービスの連絡先を前もってGメールに変更しておいたつもりだったのだが、変更もれがあとからポロポロでてきて、すぐに利用できなかったり、パスワードの再設定が郵送になったりと、いろいろ面倒な手続きをせねばならなくなった。
 ありがちな失敗とはいえ、皆様も十分ご注意を。

 スマホを本格的に使い初めてからは、いろいろとアプリを試してみては使い勝手の良いもの・自分に合っているものを取り入れている。
 以前、8インチのタブレットを使っていたときは、電子書籍リーダーや動画・音楽プレーヤーとして利用していたが、スマホになってからはそれに加えて買い物や決済・口座管理・ポイ活など生活実務にも使うようになり、用途は今も増えつつある。
 かつて、電車の乗客の半分以上がスマホ画面を見ていることに何かモヤモヤしたものを感じていたのだが、今となってはもう納得するしかない。もはや手放せない道具なんだなと。
 ネットでいろんな人の使い方を参考にしながら、思ってもいなかったアプリが存在することを知り、試してみて、そのたびに感心したり感動したりしているのだが、それはまた別の機会に報告したい。